後払い決済における未払いリスクとは?
原因から対応まで詳しく解説

近年、EC市場の拡大に伴い「後払い決済」を導入する企業が増えています。
商品を受け取ったあとに支払える仕組みは、購入ハードルを下げて売上向上に貢献する一方、支払いトラブルのリスクも抱えています。
安心して後払い決済を活用するには、未払いを防ぐ仕組みを整えることが欠かせません。
本記事では、後払い決済における未払いリスクの主な原因から、発生時の対応方法、防止策までを詳しく解説します。
目次
後払い決済の未払いが発生する主な原因

後払い決済で未払いが発生する背景には、さまざまな要因があります。
原因の把握により、リスクを最小限に抑えられ、より安全な運営体制の構築が可能です。
まずは、未払いが起こる主な理由を3つの視点から解説します。
顧客の支払い能力不足
後払い決済は、商品を受け取ったあとに代金を支払う仕組みのため、購入時点では顧客の支払い能力を十分に見極めることが難しいという特徴があります。
購入時は問題がなくても、生活費の増加や予期せぬ出費、複数ローンの返済などが重なり、支払いが滞るケースは少なくありません。
また、与信審査システムが確立していない事業者は顧客の支払能力を見抜く仕組みが不十分な点もリスク要因の1つです。
支払延滞があっても事前に把握できず、表面的には健全に見える顧客でも、実際には支払いリスクを抱えている可能性があります。
このように、顧客の支払い能力不足は、後払い決済における未払いを招く代表的な原因の1つといえるでしょう。
請求書紛失や期限切れ
後払い決済では、利用者の不注意による支払い忘れが未払いにつながるケースも少なくありません。
たとえば、請求書の紛失やメール通知の見落とし、あるいは書面の配送遅れや未着といったトラブルが挙げられます。
こうした小さな行き違いでも、支払い期限を過ぎれば未払いとなり、事業者の入金管理に影響を及ぼす可能性があります。
また、入院や急な出張、住所変更など、生活環境の変化によって期日までに支払えない事例も見られます。
これらは悪意のない遅延であるものの、件数が増えると督促や入金確認の負担が大きくなり、運用コストの上昇につながるでしょう。
このように支払い能力に問題がなくても、ちょっとした行き違いから未払いが発生する可能性があるので注意が必要です。
意図的な踏み倒し
悪質なケースでは、商品やサービスをだまし取る目的で注文し、初めから支払う意思を持たない利用者も存在します。
こうした行為は詐欺に該当する可能性があり、事業者に深刻な損害を与えるリスクの1つです。
また、商品やサービスへの不満を理由に支払いを拒否するケースも見られます。
「想定していた品質と違う」「配送が遅れた」といった理由で、正規の手続きを経ずに支払いを止めてしまう事例です。
感情的な判断や誤解が背景にあることも多く、悪意がなくても結果的に未払いにつながります。
このように、顧客の故意または一方的な判断による未払いは、単なるミスや遅延とは性質が異なります。
事業者としても、こうしたリスクを想定した注意喚起と対応体制の整備が求められます。
後払い決済の未払いがEC事業に与えるリスク

後払い決済で未払いが発生すると、事業者の資金繰りや業務負担に影響があります。
安心して後払い決済を運用するには、事前に具体的なリスクを把握しておくことが大切です。
ここからは、未払いがEC事業に及ぼす主なリスクについて解説します。
キャッシュフローの悪化
後払い決済で未払いが発生すると、予定していた入金が得られず、資金繰りに直接影響します。
回収の見通しがたたない状態が続くと、仕入れや外注費、広告費などの支出に充てる資金が不足し、運営コストを圧迫しかねません。
こうした状況が重なると、余剰資金の確保が難しくなり、経営全体の流動性低下を招きます。
資金不足が深刻化すれば、新規仕入れの停止やサービス提供の遅延など、日常業務にも支障をきたします。
販売活動の停滞は顧客満足度の低下につながり、売上減少や拡販損失を引き起こす可能性があります。
特に、大量の未払いが同時に発生した場合、短期間で経営への打撃が大きくなりやすいので注意が必要です。
さらに、未払いが長期化して回収が困難になると、「貸倒損失」として損益計算書に計上されます。
上場企業の場合、財務諸表を通じて資産価値の減少が明らかになり、取引先や投資家からの信用低下を招くリスクもあります。
こうした信用の失墜は、資金調達や新規契約にも影響を及ぼし、企業の成長戦略を制約する要因となります。
督促・入金確認などの回収業務
未払いが発生すると、督促や入金確認などの回収業務が発生します。
件数が増えるほど、担当者が対応に費やす時間や人的リソースも増大し、結果として大きな負担となります。
特にECサイトでは、債権件数が膨らみやすく、1件ごとの請求や入金チェックに手間がかかる傾向があります。
こうした事務作業が積み重なることで、業務全体の効率が低下します。
さらに、督促通知の送付は単なる事務処理ではなく、文章やデザインを工夫して再送を重ねる煩雑な作業です。
複数回のリマインドや電話・メールでの個別対応が必要になることも多く、担当者の工数は一層増加します。
これらの対応に追われると、販促活動や顧客サポートなどのコア業務にリソースを割けず、生産性の低下を招くでしょう。
また、督促対応は顧客とのコミュニケーションを伴うため、トラブルやクレームにつながるリスクもあります。
「支払ったのに反映されていない」「請求書が届いていない」などの問い合わせが発生すると、確認や再送に時間を取られ、担当者の精神的負担も大きくなります。
後払い決済の未払いを回収する方法

未払いが発生した際、事業者は速やかに入金を促す対応が求められます。
対応が遅れれば、未払いが長期化して回収が難しくなる可能性もあるでしょう。
ここからは、後払い決済における未払いの代表的な回収方法と、その実施時に意識すべきポイントを解説します。
督促通知を送付する
督促通知は、未払いが発生した際に入金を促すための基本的な対応です。
まずは、請求書の記載内容に誤りや不備がないかを確認しましょう。
金額や宛先、支払い期限などにミスがあると、支払いをためらわれる要因になりかねません。
電話やメールで督促を行っても反応がない場合は、書面による督促通知(催促状)を送付します。
文面には、未払い金額や支払い期限を明記し、指定期日を過ぎた場合の対応方針(再督促や法的手続きなど)を具体的に記載することが重要です。
それでも入金が確認できない場合は、より正式な督促状の送付を検討します。
少額訴訟を起こす
督促や交渉を重ねても入金が得られない場合は、少額訴訟を起こすのも選択肢の1つです。少額訴訟とは、60万円以下の金銭支払いを求める際に利用できる簡易的な裁判手続きで、通常の訴訟よりも短期間で解決を図れる点が特徴です。
手続きは簡易裁判所で行われ、原則として申し立てから1回の期日で判決が下されます。
証拠書類が揃っていれば個人でも手続き可能ですが、訴状作成や主張立証の準備には一定の法律知識が必要です。
また、印紙代や郵送費などの費用も発生するため、費用対効果を踏まえた慎重な判断が求められます。
こうしたコストや労力を総合的に見極めたうえで、最終手段として検討するのが望ましいでしょう。
後払い決済の未回収を防ぐための対策

未払いを根本的に防ぐには、事後対応よりも事前の仕組みづくりが不可欠です。
最後に、後払い決済の未回収を防ぐために実践すべき基本的な対策を紹介します。
与信審査を強化する
後払い決済を導入する際は、事前の与信管理がリスク回避に欠かせないポイントです。
利用者の氏名や住所、メールアドレスなどの情報をもとに、過去の支払い遅延や未払いの履歴を照合する与信審査を実施する必要があります。
また、過去の注文データを蓄積し、再利用者の支払い傾向を分析する方法も効果的です。
たとえば、過去に支払い遅延があった顧客に対しては、与信基準を厳格に設定したり、利用限度額を制限したりすることで、未払いリスクを抑制できます。
さらに、短期間での高額注文や連続した購入が見られる場合は、不正利用の可能性も考えられるため、より慎重な審査が求められます。
請求・督促の仕組みづくりを徹底する
未払いが頻発する原因は、顧客だけでなく、請求や督促の仕組みにある可能性も考えられます。
たとえば、請求書の発行漏れや支払い期限の記載ミス、入金確認の遅れなど、社内フローの不備が未払いを招くケースは少なくありません。
こうしたトラブルを防ぐには、請求・督促のプロセスをマニュアル化し、担当者ごとの対応を標準化することが重要です。
さらに、入金状況を定期的に確認し、支払い期限を過ぎた顧客には自動リマインドを送るなど、早期に対応できる体制を整えましょう。
未払い保証が備わっている決済サービスを活用する
未払いリスクを確実に抑えるには、未払い保証付きの後払い決済サービスを導入するのが効果的です。
利用者への与信審査から請求書発行、入金管理、回収までを一括して任せられるため、未払いが発生しても販売代金が保証されます。
また、請求や督促といった煩雑な事務処理を外部に委託できるため、担当者の負担を軽減し、販促や顧客対応など本来注力すべき業務にリソースを集中できます。
特に取引件数の多いECサイトでは、業務効率化と安定したキャッシュフローの維持に大きく貢献するでしょう。
まとめ

後払い決済は、商品が届いてから支払える安心感から、新規顧客の獲得につながりやすい決済手段です。
一方で、未払いのリスクもあり、万が一トラブルに発展すると、キャッシュフローの悪化や回収コストの増加を招く可能性があります。
経営に直接影響を及ぼすケースもあるため、自社で運用する場合は、事前の与信審査や請求業務の仕組みづくりといった対策が欠かせません。
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