法人向け後払いとは?導入するメリット・デメリットを紹介

法人間の取引では、商品やサービスの提供に応じてさまざまな支払いが発生します。しかし、取引のたびに請求や入金管理の業務が発生すると、企業にとって大きな負担となります。こうした課題を解消する手段として注目されているのが「法人向け後払いサービス」です。
現在では、多くの企業が法人向け後払いサービスを導入していますが、「自社にとって導入するメリットがあるのかわからない」「仕組みが理解できず不安を感じる」といった理由で導入を躊躇しているケースも少なくありません。
そこで本記事では、法人後払いの基本的な仕組みから、導入によるメリット・デメリット、さらに導入の流れや注意点までを解説します。法人向け後払いサービスの導入を検討している事業者は、ぜひ参考にしてください。
目次
法人後払いとは?

法人後払いとは、法人間で発生する取引において、商品やサービスを先に受け取り、代金は後日まとめて支払う決済方法です。一般的に「掛け払い」「請求書払い」とも呼ばれ、法人間の取引で広く採用されています。
法人間取引では商品やサービスを購入するたびに決済を行う方法もありますが、法人後払いでは特定の支払い期日を定め一定期間内に発生した未決済の取引に対して一括で決済を行うのが特徴です。
まずは、法人後払いの基本的な仕組みや主な利用シーンについて整理しましょう。
法人後払いの基本的な仕組み
法人後払いの基本的な流れは、以下の通りです。ここでは、決済代行サービスなどを使用しない前提での流れを記載しています。
1. 買い手は、売り手に法人後払いで注文する
2. 売り手は、買い手に対して与信審査を行う
3. 締め日や支払い期日を取り決め、双方で契約を締結する
4. 売り手は、商品やサービスを提供し、買い手向けに請求書を発行する
5. 買い手は、支払い期日までに代金を支払う
6. 売り手が支払いを確認できれば決済完了
法人後払いは、決済を先送りにする仕組みのため、売り手が買い手の支払い能力を信用できることが大前提です。そのため、売り手は契約前に「与信審査」と呼ばれる支払い能力や信用度の調査を行います。
このように、商品やサービスを先に提供し、代金の支払いを後から行うのが、法人後払いの大きな特徴です。
法人後払いが利用される主なシーン
法人後払いは、さまざまな法人間取引で活用されています。代表的な利用シーンは、以下の通りです。
- 卸売取引
- BtoB EC(企業間電子商取引)
- 定期取引
- 高額商品の取引
法人後払いが適しているシーンには、以下のような特徴があります。
- 取引頻度が高い/継続的:支払いをまとめることで効率化できる
- 取引金額が大きい:後払いにすることで買い手の資金調達に猶予を確保できる
このように、法人後払いは取引の性質に応じて柔軟に活用できる仕組みです。
法人向け後払いサービスを導入するメリット

通常の法人後払いには、管理や回収に関するいくつかの課題があります。こうした課題を解消し、法人後払いを効率的に運用するには、法人向け後払いサービスの導入が効果的です。
ここからは、法人向け後払いサービスを導入する3つのメリットを解説します。
未回収リスクの軽減
売り手側の大きなメリットは、未回収リスクを軽減できることです。後払いの取引では、代金が支払い期日までに振り込まれないケースもゼロではありません。その場合、売り手側は売掛金を回収できず、資金繰りに影響を及ぼすリスクもあります。
その点、多くの法人向け後払いサービスでは、代金回収をサービス会社が代行してくれます。代金の保証が付くサービスであれば、買い手が支払えなくなった場合でもサービス提供会社から代金を受け取ることが可能です。そのため、買い手側の問題で売り手側が一方的に損害を被る事態は避けられるでしょう。
特に資金面で不安を抱える企業の場合、未回収リスクを軽減できることは、安心して事業を継続するための一助となります。
新規取引先の開拓
法人向け後払いサービスを導入すれば、新規取引先との取引を始めやすくなります。取引先の情報が少ない場合、未回収リスクを考慮して契約を断念することもあるでしょう。特に大口取引や高額商品の場合、新規取引先を手放しに信用するのはハイリスクです。
しかし、保証付き法人向け後払いサービスを導入すれば未回収リスクが軽減され、これまで取引を躊躇していた企業とも安心して契約できます。また、多くのサービスでは取引先の与信審査も代行してくれます。専門家がスピーディーに与信審査を行うため、取引判断を迅速に進めることが可能です。
結果として、新規取引先を試しやすくなり、事業の拡大や販路の開拓につながるでしょう。
請求・入金管理の効率化
法人向け後払いサービスを導入すれば、請求書発行や入金管理といった経理業務を効率化できます。
法人後払いを自社だけで行う場合、請求書発行や入金管理を社内の担当者が行わなければなりません。取引先が増えるほど、発行すべき請求書や管理対象の口座が増え、作業負荷は増大します。
その点、法人向け後払いサービスの多くは、こうした請求書発行や入金管理も代行してくれます。取引先ごとに請求書を発行したり、入金状況を細かく管理したりする必要がありません。その結果、経理業務の手間が大幅に減り、人的コストの削減や担当者の負担軽減につながるでしょう。
法人向け後払いサービスを導入するデメリット

法人向け後払いサービスには多くのメリットがある一方で、注意しておくべきデメリットもあります。サービスの導入を検討するにあたって、以下で紹介する3つのデメリットについて把握しておきましょう。
手数料やコストが発生
法人向け後払いサービスの利用には、手数料や利用コストが発生します。料金体系はサービスによりますが、決済金額に応じた数パーセントの決済手数料に加えて、月額利用料が必要になるケースも少なくありません。
利益率が低い商材を扱う場合には、こうした費用の負担が利益を圧迫しやすいため注意が必要です。一方で、自社で請求書発行や入金管理にかけていた人件費を削減できるのは大きなメリットといえます。導入を検討する際には、費用対効果を総合的に判断し、自社にとってプラスになるかどうかを見極めることが大切です。
決済代行会社の選定が必要
法人向け後払いサービスは複数あり、仕組みや料金体系はサービスごとに異なります。そのため、導入前にはサービス内容を慎重に比較検討しなければなりません。
決済サービス提供会社によっては、利用上限額や与信審査の基準、審査スピードに大きな差があります。自社の取引規模や業態に合わないサービスを選んでしまうと、期待した効果が得られず業務効率を損ないかねません。比較には一定の工数がかかっても、要件に適合するサービスを見極める姿勢が重要です。
与信審査が通らない可能性がある/取引額(保証額)に制限がある
法人向け後払いサービスでは、取引先の信用度を確認するために与信審査が行われます。買い手の財務状況や取引実績によっては、審査に通らず取引自体が成立しない事態もあります。安全性を確保するための仕組みではあるものの、期待していた取引先と契約に至らないこともある点はデメリットです。
また、利用できる取引額には上限が設けられており、買い手の信用度によって枠が変動します。そのため、高額の取引を後払いで進めたいときに制限がネックとなる場合もあるでしょう。取引規模が大きい事業者は、事前に上限金額を確認しておくことが欠かせません。
法人向け後払いサービス導入の流れ

法人向け後払いサービスを導入するまでの手順は、決済サービス提供会社によって細かい部分が異なります。ここでは、多くのサービスで共通する一般的な流れを確認しておきましょう。
1. 申し込み
2. 審査
3. 初期設定
4. 利用開始
まずは、選定したサービスのWebページから申し込み手続きを行います。その後、決済サービス提供会社による審査を受け、通過できれば当該サービスを利用可能です。
次に、自社の販売システムとサービスを連携させるための初期設定や動作確認を行います。導入が完了すれば、法人向け後払いサービスを実際の取引で利用可能です。
法人向け後払いサービスを導入する際の注意点

法人向け後払いサービスを導入する際には、事前に確認すべきポイントがあります。トラブルを避けるためにも、以下で紹介する内容に注意しましょう。
契約条件や利用上限を確認する
決済サービス提供会社と契約する際には、契約条件や利用上限を事前に確認することが欠かせません。手数料や月額利用料に加えて、保証限度額や対象業種が自社の取引に適しているかを入念に確認する必要があります。
特に、サービスが対応できる取引の上限金額は重要な確認項目です。主要な取引額を十分にカバーできる上限が設定されていなければ、期待した効果を得られず、法人後払いを有効に活用できない可能性があります。
そのため、導入前には契約条件を細部まで確認し、自社の実態に合致するサービスを選定するようにしましょう。
システム連携やサポート体制の整備を確認する
導入後のトラブルに備え、サポート体制が整っているかどうかも重要です。緊急時に素早く対応してくれるか、問い合わせの対応時間はいつか、なども確認しておきましょう。
審査に通らない可能性がある
法人向け後払いサービスでは、取引先の信用度を確認するために与信審査が行われます。買い手の経営状況や過去の取引実績によっては、審査に通らず後払いが利用できない場合もあります。売り手としては、サービスを利用できない取引先への対応方法を事前に検討しておくことが大切です。
審査に通らないリスクを抑えるには、代替の決済方法を準備しておくことが有効です。また、審査通過率の高いサービスや、審査結果が迅速に返ってくるサービスを選ぶことで、取引の遅延を最小限に抑えられます。
まとめ

法人向け後払いサービスは、経理業務の効率化だけでなく、未回収リスクの軽減や新規取引先の開拓にも役立ちます。しかし、手数料や利用上限、通過率など、事前に確認しておくべきポイントは多数あるため、どのサービスを選ぶか迷う企業も少なくありません。
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